た。三人の男女が審《いぶか》しそうに、人形を取り上げて調べている。戒刀で人形を切ろうとしたのらしい。しかるに人形が切れなかったので、驚いているという様子であった。人形が机の上へ置かれた。また大日坊は戒刀を振り上げた。
 その戒刀が鏡の中で、白く横の方へ流れた時、またもお島は背後から、黒い布で全身を包まれた、が、その刹那《せつな》迂濶千万にも、お島は髪を崩すまいとして、片手で黒布を上へ揚げた。その拍子に指の先が布から出た。
「痛い!」とお島は悲鳴を上げた。
 布が体から取り去られた時、お島の右の手の中指の先から、血が掌の方へ流れていた。切り傷がそこについている。と、鏡中の世界の人は、またも人形を取り上げて、奇怪至極だというように、その人形を調べ出した。人形の左の手の中指に、どうやら傷でもついたらしく、そこを三人は調べ出した。
 またもや人形は机の上へ置かれ、またもや大日坊は戒刀を振り冠った。そうしてまたもやお島の全身が、黒布《くろぬの》によって蔽《おお》われた。しかしその布が取り去られた時、お島の体には異変はなかったが、鏡中の人々には異変があった。戒刀が折れて折れた先が、勘三の咽喉を貫い
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