そう、行列の後をつけて。そうしてその上であの行列が、あそこの門を何も知らずに、得意気にくぐってはいるのを見て、大声で笑ってやりたいのだ」
「殿らしいご趣味でございます」
「趣味といえばどうにも六人男の連中、あくど[#「あくど」に傍点]過ぎて少しく困る」
「根が不頼漢でございますから」
「云い換えると好人物だからさ」
「無頼漢が好人物で?」
「こんな時世に命を惜しまず、感激をもって事を行う! 気の毒なほどの好人物だよ。……仕事を成功させてからも、伊豆守を討って取ろうとして、横町から本通りへ引っ返して来て、再度の切り込みをしたことなどは、好人物の手本だよ」
「仕事と仰せられ、成功と仰せられる、どのような仕事なのでございますか?」
「家へ帰ってから話してあげよう」
(ふうん、あのお方が『館林様』なのか? 館林様のご本体は、では甲斐の国館林の領主、松平右近将監武元卿――従四位下ノ侍従六万千石の主、遠い将軍家のご連枝の一人、三十八年間も執政をなされた、その右近将監武元卿の公達、妾腹のご次男でおわすところから、本家へはいらず無位無官をもって任じ、遊侠の徒と交わられ、本家では鼻つまみ[#「つまみ」に
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