に延びていた、横町の中へ走り込んだ。が、しかし侍達も、うっちゃって置こうとはしなかった。同じ横町へ走り込んだ。そうして取り返した二種の品物を、本通りへ持って来た。
と、女の一団達は、横町から走り出て来て、侍達へ切ってかかった。こうして乱闘が行われた。
新八郎は走って行った。しかし新八郎が行きついた時には、行列の人数と女の一団とは、別々の道を辿っていた。新八郎の行きつく少し前に、側の露路から二人の侍が現われ、その中の一人が鋭い声で、例の女の一団に向かい、叱りつけるように声をかけると、女の一団は驚いたように、行列の人数に切ってかかるのを止め、例の横町の方角へ逃げ、行列の人数はそれを幸いに、行列を急がせて先へ進んだからである。
ところが十二神《オチフルイ》貝十郎であるが、その頃その場へ駈けつけていたが、そう声をかけた侍の姿を見ると、一緒に走っていた二人の同心へ、
「よし! 止めろ! 手を出すな!」
と叫び、これも例の横町の中へ、同心と一緒に走り込んだ。
がしかし新八郎が貝十郎の後から、貝十郎の後をつけて行ったなら、
「やあこれはどうしたのだ※[#感嘆符疑問符、1−8−78] 献上箱
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