なっていた。
夏別荘には相違なかったが、大家の丸田屋の別荘なので、お屋敷と云ってもよいほどに、大きくもあれば立派でもあった。
今二人が媾曳《あいびき》をしている、裏庭なども林かのように、茂っていた木々によって蔽われていた。木々を通して向こうに見える、二階建ての建物から華やかな笑いと、華やかな灯火とが洩れて来ていた。丸田屋の主人が客を招《よ》んで、夜宴をひらいているからである。
芙蓉の花がにわかに揺れた。お小夜の袖が煽《あお》ったからである。そのお小夜の左右の手が、珠太郎の背に廻っていた。
「それでは明後日《あさって》の夜。……ね、珠太郎様」
「明後日《あさって》の夜? ……ええ、きっと。……」
「まず名古屋まで通し駕籠で。……」
「通し駕籠で、……参りましょうとも」
「詳細《くわし》い手筈は明日の晩に、やはりここで致しましょうよ」
「ええここで、明日の晩に。……」
珠太郎の頬にお小夜の髪が触れた。と、その時少し離れた、築山のあるほとりから、突然笑う声が聞こえて来、つづいて話す声が聞こえて来た。
「アッハッハッ、どうしたものだ。そんな殺生な真似《まね》はしない方がいい」
「これは
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