部厚の頬や三白眼の眼に争い難く現われていた。
(ははあこいつ色悪だな)と貝十郎はすぐに思った。(こいつに比べると隼二郎の方が、まだしも感じがいいと云える。――どっちがいったい悪党なんだろう? ちょっと見当がつかなくなった。江戸にいると俺は見透しなんだが、田舎へ来るとそういかなくなる。田舎は性に合わないと見えるぞ)
「旦那」と鏡太郎が嘲笑うように云った。「ただのお武家さんじゃアなさそうですね。それにお前さんあの女に、特別の興味を持ったようですね。が、ハッキリ云って置く、手を引いた方がようござんしょうと。……鷺ノ森へ来たお前さんだ、征矢野の家のお客なんだろうが、あの女へチョッカイは出さない方がいい」
「うるさい下司《げす》だな、何を云うか!」
「何を、箆棒《べらぼう》、怖いものか」
「行け!」
「勝手だ」
「白痴者《たわけもの》め」
 云いすてて貝十郎は先へ進んだ。
(まるで俺の方が脅されたようなものだ)苦笑せざるを得なかった。(幸先必ずしもよくないぞ)
 その時彼の背後《うしろ》の方から梟《ふくろう》の啼き声が聞こえて来た。つづいて雉《きじ》の啼き声がした。呼び合い答え合っているようであ
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