うから、若い男女の話し声が聞こえた。
「ね、いいじゃアありませんか。……いつまで待てとおっしゃるのでしょう。……」
「いいえ、いけませんの、どうぞ勘忍して。……妾《わたし》、辛いのでございますわ。……だって、叔父様が……ね、ですから……」
「叔父様が何んです! そんなもの! ……ああ私はどうしたらいいのだ! ……もう待てないのです、とても私には! ……若さだって過ぎてしまいます! ……逃げましょう、いっそ、ね、二人で! ……」
(ははあ)と貝十郎は微笑した。(野の媾曳《あいびき》っていうやつだな。度を越すと野合という奴になる。……)
「三保子!」と突然荒々しい、男の声が聞こえて来た。「何をしている。家へ帰れ!」
「あれ、叔父様、まあどうしよう! ……鏡太郎さん早く逃げて!」
鏡太郎の逃げる足音が聞こえた。
(やれやれ)と貝十郎は苦笑をした。(叔父さんという奴は大概の場合、粋な人間に出来ているものだが、ここの叔父様は逆だったわい。待て待て、三保子と呼んだようだった。では女はお三保なのか、とすると叔父と云うのは後見をしている、隼二郎という男だな。隼二郎叔父さんを見てやろう)
で、貝十郎
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