ビーという女です。私は宮廷で育ちました。皇后の侍女頭をしていました。ある夜新しい命婦《めいぶ》のために皇帝は夜会をひらかれました。諸国から献ぜられた五人の命婦はいずれも憂欝な顔をして席に控えておりました。五人のうちで一番若い――十七位の波斯《ペルシャ》乙女はわけても悲しそうな様子をして眼を泣き脹らしておりましたので妾の注意をひきました。宴会が終えて命婦達が各自の椒房《ハレム》へ帰った時、私は皇后の許しを受けて命婦達を慰問に行きました。例の十七の可哀そうな命婦の華麗な椒房《ハレム》へ行って見ると、可憐の乙女は寝台の上でシクシク泣いておりました。私は侍女を遠ざけてから乙女に慰めの言葉をかけてその身の上を尋ねました。乙女の言葉によりますと、乙女は波斯《ペルシャ》でも由緒正しい絹|商人《あきんど》の愛娘で、その時からちょうど一月前、父母に連れられてコンスタンチノーブルへ観光に来たのだそうでございます。ところが白昼|誘拐《かどわ》かされ朝廷の大官に売られたのをその大官がさらにそれを皇帝に献じたということです。娘は私に云うのでした。「どうぞここから逃げられるようにお取り計らいくださいまし。ここに手
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