ている何んとなく神々しい別天地が私達の前へ展開した。
光の洪水に洗礼されたその前方の砂丘の上には一個の祠《ほこら》が安置されてあってあたかもそれを守るかのように石で刻まれた狛犬が、肩に焔を纒いながら祠の前に坐っている――その光景を眺めた時、私は卒然と羅布《ロブ》の沙漠の緑地《オアシス》で見た同じ祠を頭の中に描き出した。
「おお何んと同一ではあるまいか! ……ロブの沙漠のあの祠《ほこら》とボルネオの奥地のこの祠《ほこら》とは!」
私は感激に胸を顫わせ釘付けのように突っ立ったままじっと祠を眺めていた。すると私のこの感激を一層高潮に誘うような不思議な事件が突発した。それは、今まで梢の上で私達を守っていた人猿達が、祠の姿を見るや否やバラバラと梢から飛び下りて人間のようにひざまずいて祠を遙拝することであった。
ああその熱心さと敬虔《けいけん》さとは何んに例《たと》えたらよいだろう? 古代、仏教の信者達が仏陀の尊像を堅く信じて祈願をこめた熱心さと敬虔さとに例えようか。それにしてもどうして人猿達が遙拝の仕方などを知っているのであろう? 誰か彼らに教えたのか。それとも、自然に覚えたのか。そしてい
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