底本では「ちっともない人猿が」]私達を守っている……はたして私達の頭上からヒラヒラとちょうど蝙蝠《こうもり》のように人猿達が下りて来た。そして悲壮な格闘が大猩々との間に行われたが、ものの十分も経たないうちにゴリラは三つに引き千切られた。
森林が開けて陽が射している大きな沼へ来た時にまたも私達は前世紀の怪獣の一つに遭《ゆきあ》った。十間もあるらしい長身の背中一面に角の生えた尾と頸の長い動物で、その尾と後脚とを利用して立ったままヨチヨチ歩いている。私達の姿を見付けるや否や一躍して水中へ飛び込んだがそのまま姿は見えなくなった。私達二人は沼の岸を静かに歩いて進んで行った。キキ! キキと木の梢で悲しそうな声で鳴くものがあるので何気なく仰いで梢を見た。眼玉の飛び出た鰭《ひれ》の長い八尺あまりの鯊《はぜ》のような魚が鰭《ひれ》で木の幹を攀《よ》じながら悲しそうに鳴いているのであった。
私達は尚も彷徨《さまよ》って行った。鰐の住む濁った河を渉り鴨嘴《かものはし》の群れている湿地を越えて足に任せて彷徨った。
またも森林が途絶えて、前方遙かに砂丘が見え、熱帯の太陽が赧々《あかあか》と光の洪水を漲らせ
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