な叫び声を挙げるのであった。
ラシイヌの一行は自動車を降りて土人の中を掻き分けながらレザールの後に従って天幕の方へ歩いて行った。林の中の有様はちょうど軍隊が野営したかのように、活気と混雑とに充たされている。馬や水牛は草を喰《は》みながら絶えず尻尾を振っている。小虫の集まるのを防ぐためだ。火を焚いている土人がある。いずれもほとんど半裸体で足に藁靴《わらぐつ》を穿きながら、その足でパタパタ地面をたたいてボルネオ言葉で話し合い時々大声で笑い出す。弓を引いている土人もある。護謨《ゴム》の林の奥を目がけてヒューッとその矢を放すと同時に、木立の上から南洋鷹が弾丸のように落ちて来た。武器の手入れをする土人もある。銅笛を吹いている土人もある。競走《マラソン》をしている土人もある。
十数《いくつか》の天幕《テント》を支配するかのように、巨大の天幕がその中央に棟高く一張張られてあったが、ラシイヌ達の一行はその天幕へはいってきた。
ラシイヌは四辺《あたり》を見廻してから事務的口調で質問《きき》だした。
「土人は一人も逃げないかね?」
「そのうちポツポツ逃げ出すでしょうが、今のところ一人も逃げません」事
前へ
次へ
全239ページ中151ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
国枝 史郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング