手に手に持っていた花束を雨のように下へ投げ下ろした。楽隊は進行曲《マーチ》を奏し出す。見物の群集は閧《とき》を上げる。響きと色彩《いろ》と人の顔とが入り乱れている雑沓《ざっとう》の間をそろそろと自動車は動き出した。やがて市中を出外れると一時間二十|哩《マイル》の速力で自動車は猛然と走り出した。目差すところは森林である。その森林には探検用のさまざまの道具を守りながらレザールが待ち受けているのである。こうして自動車は進みに進みその日の正午を過ごした頃、遙か彼方の護謨林の中に幾個か張られた天幕《テント》の姿が白く光るのを見るようになった。自動車が近付くに従って林の中から一行を迎える歓呼の声が聞こえて来た。純白の天幕を囲繞《とりま》いて銅色の肌をした土人どもが蠅《はえ》のようにウヨウヨ集まっている。その中に一人白々と夏服姿の若紳士が小手をかざして見ているのは無論レザールに相違ない。
自動車は警笛を吹き鳴らし次第次第に速力を弛めだんだん林に近寄って行った。そして全く停まった時には自動車の周囲《まわり》は土人の群で身動きもならないほど取り巻かれた。彼らは一斉に手を上げて無事の到着を祝すための奇妙
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