ありまするその馬飼は、たしかに私にござります。そうして歌にありますように、私の屋敷に領地内に、ある時代にはその黄金、ありましたそうでござります。……その黄金ありましたればこそ、馬鹿らしいほどの繁栄を来たし、今このように広い領地を、持つことが出来て居りますので。そうでなくては馬飼風情、いかにあくせく[#「あくせく」に傍点]働きましたところで、とてもとても今日のような。……で私はその黄金を、巧みに利用し財《たから》を積んだところの、祖先に対して有難やと、お礼申して居りまする次第で」
「とそう云われるお言葉から推せば、今日においてはその黄金、すでにお手にはないご様子……」
「さあそれとてそうとも否とも、ちと私としては申しかねますので……」
「これは奇怪、はなはだ曖昧!」
「へいへい曖昧でござりますとも」
「方角を変えてお尋ねいたす。例の歌の末段に※[#歌記号、1−3−28]|秣《まぐさ》の山や底無しの、川の中地の岩窟《いわむろ》にと、こういう文句がござりまするが、そこに大方その黄金、埋没されて居りたるものと、この拙者には思われまするが、そのような境地が領内に……?」
「へいへいたしかにござり
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