をぽっと明るくしているばかりであった。
 主屋の建物はそういう構えの、遥か向こうの中央にあったが、勿論雨戸で鎧われているので、燈火など一筋も漏れて来なかった。
 と、拍子木の音がした。
 夜廻りが廻って来たらしい。
 二人は木立の陰へ隠れた。
 拍子木の音は近付いて来た。
 と、不意に足を止めたが、
「これ、誰じゃ、そこにいるのは?」
 一踴!
「わッ」
 一揮!
 寂寥!
「おい、陣十郎切ったのか?」
「いや峯打ちだ。殺してはうるさい」


 なお二人は先へ進んで行った。
 と、行手から男女らしいものが、話しながら来る気勢《けはい》がした。
 そこで二人は木陰へかくれた。
 男女の声は近寄って来たが、数間へだてた地点まで来ると、
「其方《そなた》あちらへ……静かにしておいで。……ちと変だ……何者かが……」
 こういう男の声がして、しばらくそれからヒッソリしていたが、やがておちついた歩き方で、歩み寄って来る気勢がし、
「これ誰じゃ、そこに居るのは?」と咎める威厳のある声がした。
 主水も陣十郎も物云わず、息を殺してじっと[#「じっと」に傍点]していた。
「賊か、それとも……賊であろう
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