間隔《まあい》を離して部屋の隅に、二流《ふたながれ》敷《し》いてある夜具の中に、二人ながら既に寝ているのであった。
(もうお妻は眠ったかしら?)
顔を向けてそっちを見た。
夜具の襟に頤を埋めるようにして、お妻は眼を閉じ静まっていた。高い鼻がいよいよ高くなり、頬がこけて[#「こけて」に傍点]肉が薄くなり、窶れて凄艶の度を加えていた。
(俺のために随分苦労をしてくれた)
二人が夫婦ならぬ夫婦のようになり、弁三の家にかくまわれ[#「かくまわれ」に傍点]てから、木曽への旅へ出た今日が日まで、日数にしては僅かであったが、陣十郎のために探し出されまい、猪之松一家の身内や乾分共に、発見されまいと主水に対し、お妻が配慮し用心したことは、全く尋常一様でなかった。
あの日――お妻が主水に対し、はじめてうってつけ[#「うってつけ」に傍点]た恋心を、露骨に告げた日陣十郎によって、後をつけ[#「つけ」に傍点]られ家を見付けられ、あやうく奥へ踏み込まれようとしたが、弁三の鉄砲に嚇されて、陣十郎は逃げて行ったものの、危険はいよいよ迫ったと知り、爾来お妻は家へも帰らず、陣十郎とも勿論逢わず、猪之松の家へも寄
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