にならねばなりませんのねえ」
「はいそれに誘拐《かどわか》されました妹の、行方を尋ね取り戻さねば……」
「そうそう、そうでございましたわねえ」
お妻はまたも微笑したが、
「そのお妹御の澄江《すみえ》様、まことは実のお妹御ではなく、お許婚《いいなずけ》の方でございましたのね」
そう云った時お妻の眼へ、嫉妬《ねた》ましさを雑えた冷笑のようなものが、影のようにチラリと射した。
「はい」と主水は素直に云った。
「とはいえ永らく兄妹として、同じ家に育って参りましたから、やはり実の妹のように……」
「さあどんなものでございましょうか」
云い云い髪へ手をやって、簪《かんざし》で鬢の横を掻いた。
「お許婚の方をお連れになり、敵討の旅枕、ホ、ホ、ホ、お芝居のようで、いっそお羨《うらやま》しゅうございますこと……」
主水は不快な顔をしたが、グッと抑えてさりげなく[#「さりげなく」に傍点]、
「その妹儀あれ以来、どこへ連れられ行かれましたか……思えば不愍……どうでも探して……」
「不愍は妾もでございますよ」
お妻の口調が邪見になり、疳を亢ぶらせた調子となった。
「人の心もご存知なく……妾の前でお許
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