? 秋山氏、今日の勝負は?」
「アッハハ、後日真剣で!」
因果な恋
1
高萩村の村外れに、秩父|香具師《やし》の部落があり、「|刃ノ郷《やいばのごう》」と称していた。三十軒ほどの人家があり、女や子供や老人などを入れ、百五十人ほどの半農半香具師が、一致団結して住んでいた。
郷に一朝事が起こり、合図《しらせ》の竹法螺がボーッと鳴ると、一切の仕事を差し置いて、集まるということになっていた。
弁三爺さんという香具師の家は、この郷の片隅にあった。
茅葺の屋根、槇の生垣、小広い前庭と裏の庭、主屋、物置、納屋等々、一般の農家と変わりのない家作、――ただし床ノ間に鳥銃一挺、そうして壁に半弓一張、そういう武器が懸けてあるのは、本来が野士といって武士の名残――わけても秩父香具師は源氏の正統、悪源太義平から来ていると、自他共に信じているそれだけあって、普通の農家と異《ちが》っていた。
秋山要介と逸見多四郎とが、多四郎の道場で、木刀を交した、その日から数日経過したある日の、こころよく晴れた綺麗な午後、ここの庭に柿の葉が散っていた。
その葉の散るのをうるさ[#「うるさ」に傍点]そうに払って、お妻
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