《めくま》の出来ている眼で、五郎蔵を凝視《みつ》めたが、
「お頭《かしら》ア、いや親分、お久し振りでござんすねえ」と、言葉まで侍らしくなく、渡世人じみた調子で、「いつも全盛で、おめでとうございます」
 五郎蔵は、相手の顔を見、不審《いぶか》しそうに眼をひそめたが、そろりと脇差しを膝へ引き付けると、
「汝《わりゃ》ア?」
「渋江典膳《しぶえてんぜん》で。……お見忘れたア情ねえが、こう痩せ涸れてしまっちゃア、人相だって変る筈で。……それにさ、お別れしてっから、月日の経つこと二十年! ハッハッ、お解りにならねえ方が本当かもしれねえ」
「…………」
「お頭ア、いや親分、あの頃はようござんしたねえ、二十年前は。……来栖勘兵衛、有賀又兵衛といやア、泣く児《こ》も黙る浪人組の頭、あっしゃア、そのお頭の配下だったんですからねえ。……徒党を組んでの、押し借り強請《ゆす》りの薬が利きすぎ、とうとう幕府《おかみ》から、お触れ書きさえ出されましたっけねえ。あっしゃア、暗記《そら》で覚えておりやす。『近年、諸国在々、浪人多く徘徊いたし、槍鉄砲をたずさえ、頭分、師匠分などと唱え、廻り場、持ち場などと号し、めいめい
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