》けようとする。そうしてお紅は立ち上ろうとした。そうしてお紅は叫ぼうとした。
「お婆さんお婆さん出して下さい! そうでなかったら連れて来て下さい!」
で、お紅は泣き出した。
で、もし誰か異性の一人が、ここの寝部屋へ入り込んだならば、お紅は…………。…………を失うであろう。
そうして今やそういう異性が、奇形な建物の出入口の前へ、ひそかに姿を現わした。
他ならぬ不破小四郎であった。
出入口の前に扉がある。内部が厳重にとざされている。その前に立った小四郎は、四辺《あたり》を憚ったひそやかな声で、
「姥はいるか、四塚の姥は!」
こう呼びかけて聞き耳を立てた。
光消えぬ矣簒奪星
と、扉の向こう側から、老婆の声が聞こえてきた。
「四塚の姥はこの妾《わたし》で。……何かご用でもござりますかな?」
嘲笑っているような声である。
「俺《わし》はな、小四郎だ、不破小四郎だ」
「お声で大概|判《わか》りますよ。小四郎様でござりましょうとも」
嘲笑っているような声である。
「姥か、お願いだ、扉をあけてくれ」
するといよいよ嘲笑いの声を、四塚の姥は扉の中で立てたが、
「これはこれは何を
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