武士達と立ち上って、一整に姿をかくした後には秀次と幸蔵主ばかりが残された。
能弁の幸蔵主
しばらく幸蔵主は秀次の顔を、まじろぎ[#「まじろぎ」に傍点]もせずに見ていたが、いかにもいたわしさ[#「いたわしさ」に傍点]に堪えないように、いたわる[#「いたわる」に傍点]ように話しかけた。
「妾《わたし》が聚楽《じゅらく》へ参りましてこの方、繰返し繰返し申しましたが、まだご決心が付きませぬそうな。よくないことでござりますよ。早うご決心をなさりませ。伏見へおでかけなさりませ。そうしてご弁解なさりませ。太閤殿下と貴郎《あなた》様とは、血縁の伯父姪[#「姪」はママ]ではございませぬか。親しくお二人がお逢いなされて、穏かにお話をなさいましたら、疑いは自然と解けましょう。ご謀反を巧まれたというのではなし、ただ少しご身分柄として、ご醉興の程度が過ぎるという、それだけのお咎めではござりませぬか。恐ろしいことなどはござりませぬ。何の何の恐ろしいことなどが。……本来このような場合には、伏見からお呼びのない前に、貴郎様から参られて、お咎めの故以《いわれ》のないということを、お申しひらきなさるのが、本当なの
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