この二人は、経歴から目的から同一なのであろう! 二人の女の関係はどうなのであろう?
 お茶の水で主税を助けたあやめ[#「あやめ」に傍点]は、辻駕籠を雇って主税を乗せて彼の屋敷へまで送ってやった。
 でも彼女は心配だったので、見え隠れに駕籠の後をつけて、彼の屋敷の前まで来た。と五人の覆面武士が現われ、主税を手籠めにして担いで逃げた。
(一大事!)と彼女は思い、その一団の後を追った。が、この構内へ入り込んだ時には、その一団はどこへ行ったものか、姿がみえなくなっていた。
(どうあろうと主税様をお助けしなければ)
 そこで、あやめ[#「あやめ」に傍点]は主税を探しにかかった。
 その結果がこうなったのである。

   双生児の姉妹

「まあお前は妹!」
「お姉様《あねえさま》か!」
 あやめ[#「あやめ」に傍点]とそうしてお葉の口から、こういう声のほとばしったのは、それから間もなくのことであり、その次の瞬間には二人の女は、抱き合ったままで地に坐っていた。
 お高祖頭巾をかむった町女房風のあやめ[#「あやめ」に傍点]と、猿廻し姿のお葉とが、搦み合うようにして抱き合って、頬と頬とをピッタリ付けて、
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