――ただこういう意味なのだよ」
「でも、そんな和歌が淀屋の財宝と、どんな関係があるのでございます?」と好奇心で眼を輝かせながら、お八重は息をはずませて訊いた。
「淀屋の財宝の所在《ありばしょ》が、この和歌の中に詠まれているのだよ。……太陽を仰いでいる人間の位置は、東西南北の中央にある。その人間の位置にあたる所に、淀屋の財宝が隠されてあるのさ」
「ではどこかの中央に?」
「この屋敷の中央に?」
「この屋敷の中央とは?」
「荏原屋敷は大昔においては、沼を中央にして作られていたものさ」
「まア、では、財宝は古沼の中に?」
「沼の中央は岩の小島なのさ」
「まア、では、沼の小島の内に?」
「小島の中央は祠なのだ」
「では淀屋の財宝は祠の中に隠されてあるのね」
「そうだ」と老人は感慨深そうに云った。
「そうしてそのことを知っている者は、荏原屋敷の先代の主人と、この飛加藤の亜流だけなのさ。そうしてそのことを記してあったのは、三つの淀屋の独楽だけだったのさ。その独楽は以前には三つながら、荏原屋敷にあったのさ。ところがいつの間にか三つながら、荏原屋敷から失われてしまった。だがその中の一つだけは、ずっとわ
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