、生い茂り乱れもつれ[#「もつれ」に傍点]合っている地面へ、水銀のような光の斑を置き、長年積もり腐敗した落葉が、悪臭を発しているばかりであった。
秘密は解けたり!
そうして林の一方には、周囲五町もある大古沼が、葦だの萱だのに岸を茂らせ、水面に浮藻や落葉を浮かべ、曇った鏡のように月光に光り、楕円形に広がっていた。そうして沼の中央に在る、岩で出来ている小さい島の、岩の頂にある小さい祠が、鳥の形に見えていた。
でも人影はどこにもなかった。失望して頼母は佇んだ。
と、又もや歌声が、行手の方から聞こえてきた。
(さてはむこうか)と頼母は喜び、跫音《あしおと》を忍ばせてそっちへ走った。
茨と灌木と蔓草とで出来た、小丘のような藪があったが、その藪の向こう側から、男女の話し声が聞こえてきた。
(さては?)と頼母は胸をドキつかせ、藪の横から向こう側を覗いた。
一人の娘と一人の老人とが、草に坐りながら話していた。
老人は白髪白髯の、神々しいような人物であったが、しかしそれは一向見知らない人物であった。しかし、女の方はお八重であった。田安中納言家の腰元で、そうして自分が想いを懸けた、そ
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