みち助からぬ二人の命! ……敵の手にかかって殺されようと、怪しいものの手にかかって殺されようと、死ぬる命はひとつでござれば、怪しいものの正体を……」と主税はヌッと立ち上った。
「では妾《わたし》も」とあやめ[#「あやめ」に傍点]も立った。
 でも二人が隣部屋へ入った時には、薄赤い光は消えてしまった。
(さては心の迷いだったか)
(わたしたちの眼違いであったのかしら)
 二人は茫然と闇の中に、手を取り合って佇んだ。この間も戸を破る烈しい音が、二人の耳へ聞こえてきた。
 と、又も同じ光が、廊下をへだてている襖の隙から、幽かに薄赤く射して来た。
(さては廊下に!)
 あやめ[#「あやめ」に傍点]と主税とは、夢中のようにそっちへ走った。
 しかし廊下へ出た時には、その光は消えていた。
 が、廊下の一方の詰の、天井の方から同じ光が、気味悪く朦朧と射して来た。
 二階へ登る階段があって、その頂上から来るらしかった。
 二人はふたたび夢中の様で、階段を駈け上って二階へ登った。しかし二階へ上った時には、その光は消えていて、闇ばかりが二人の周囲《まわり》にあった。
 悪漢毒婦の毒手によって、無残に殺され
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