「うむ、乱入いたすそうな。……そうなってはどうせ切り死に……」
「切り死に? ……敵《かたき》と、お父様の敵と……それでは返り討ちになりますのね。……構わない構わないどうなろうと! ……本望、わたしは、わたしは本望! ……主税様と二人で死ぬのなら……」

   亡魂の招くところ

 たちまちふいに闇の部屋の中へ、一筋の薄赤い光が射した。
(あっ)と二人ながら驚いて、光の来た方へ眼をやった。
 奥の部屋を境している襖があって、その襖が細目に開いて、そっちの部屋にある燈火《ともしび》の光が、その隙間から射し込んで来たと、そう思われるような薄赤い光が、ぼっとこの部屋に射して来ていた。
「貴郎《あなた》!」とあやめ[#「あやめ」に傍点]は怯えた声で云った。
「あけずの館に燈火の光が! ……では誰かがいるのです! ……恐ろしい、おおどうしよう!」
 主税も恐怖を新規《あらた》にして、燈火の光を睨んだが、
「そういえば閉扉の館の戸が、内から自ずと開きましたのも、不思議なことの一つでござる。……そこへ燈火の光が射した! ……いかにも、さては、この古館には、何者か住んで居るものと見える! ……どっち
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