申しますまい。いずれ奥様がお話ししましょう。……さて例の銀三十枚、あれを頂戴に上ったのでした。しかし奥様にお目にかかり、私の考えは変わりました。……進呈することに致しました。いえ貴郎にではありません。貴郎の奥様へ差し上げたので。……奥様は大変お美しい。そうして大変大胆です。何と申したらよろしいか。とにかく私は退治られました。色々の婦人にも接しましたが、奥様のようなご婦人には、お目にかかったことはございません。……で、私は申し上げます。ちっとも[#「ちっとも」に傍点]ご心配はいりませんとね。銀三十枚と私とは、今日限り縁が切れました。あれは貴郎方お二人の物です。もしもこれ迄あの金のために、ご苦労なされたと致しましても、今後はご無用に願います。……全く立派なご婦人ですなア。……今度こそ私は間違いなく、日本の国を立ち去ります。ご機嫌よろしゅう。ご機嫌よろしゅう」
 ロハ台を離れて大股に、町の方へ歩いて行った。
 と、二人の外人が、その後を追うように歩いて行った。
 噴水の向こうに隠れてしまった。
 私はロハ台から離れなかった。だが私は呟いた。
「ひとつ彼女を祝福しに行こう」
 それでもロハ台か
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