始メ弓ヲ調ベ矢ヲ矯《タ》ム、猿|乃《スナワ》チ樹ヲ抱イテ号《サケ》ブ」
それ程までに秀でた漢土弓道の大家、その養由基の射法の極意を、完全に記した『養由基』一巻、手写した人は大楠公であった。その養由基を譲り受けて以来、日置弾正正次《へきだんじょうまさつぐ》は、故郷に帰って研鑽百練、日置流の一派を編み出した。これを本朝弓道の中祖、斯界の人々仰がぬ者なく、日置流より出て吉田《よしだ》流あり、竹林《ちくりん》派、雪荷《せっか》派、出雲《いづも》派あり、下って左近右衛門《さこんえもん》派あり、大蔵《おおくら》派、印西《いんざい》派、ことごとく日置流より出て居るという。
底本:「国枝史郎伝奇全集 巻五」未知谷
1993(平成5)年7月20日初版発行
初出:「キング」
1932(昭和7)年6月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:阿和泉拓
校正:湯地光弘
2005年5月16日作成
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