はホッとしたが、さすがに体は疲労《つか》れていた。
「さてこれからどうしたものだ」こう云ったのはホーキン氏である。
「いずれすぐに盛り返して来よう。戦うより仕方がない」紋太夫は憮然《ぶぜん》として云った。
「さよう、戦うより仕方あるまい。敵は大勢味方は二人、とてもこっちに勝ち目はないな」ホーキン氏は暗然とした。
「そうばかりも云われない」紋太夫は故意《わざ》と元気に、「世には天祐というものがある」
「俺はそんなものは認めない」ホーキン氏は冷ややかに、「それは憐れむべき迷信だ」
「いやいや決して迷信ではない。日本には沢山例がある」
「いや迷信だ。非科学だ。合理的とは認められぬ」
「西洋流の解釈だな」
「そうして正しい解釈だ」
「しかしそいつはまだ解らぬ。……や、来た来た盛り返して来たぞ。議論をしている暇はない」
「うん、来たな。サア戦争だ」
 二人はそこで以前《まえ》のように前後の敵に向かうことにした。
 衆を頼んだオンコッコ軍はひたひた[#「ひたひた」に傍点]と紋太夫へ攻め寄せる。
 ビクともしない紋太夫は、ピッタリ岩壁へ体をくっ付け、しばらく敵を睨んでいたが、パッと敵の中へ飛び込むと
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