り[#「ゆっくり」に傍点]ゆっくり翔《か》けて行く。
ジョンは英国の少年である。そうして英国は海国である。ジョン少年は子供ながら、海の知識には富んでいた。丸木舟ぐらい漕ぐことが出来る。
ひらり[#「ひらり」に傍点]と丸木舟へ飛び込んだ。
烏を追おうとするのである。
二十一
一本足の烏に誘われ、ジョン少年が走り去ったとも知らず、司祭バタチカンは林の中を声を上げながら探し廻った。
「ジョンよ! ジョンよ! ジョンはいないかな! 林の外には敵がいるぞよ、林の外へ行くではないぞよ。ジョンよ。ジョンよどこにいるな!」
しかしどこからも返辞がない。
バタチカンは次第に不安になった。椰子《やし》の根もとに佇《たたず》みながら心配そうに考え込んだ。林の中は静かである。ここには何んの危険もない。美しい日光と涼しい風と香《におい》のよい草花と緑の木々、それらの物があるばかりだ。旨《うま》い果物《くだもの》や綺麗な泉、これらの物があるばかりだ。しかし一|度《たび》林の外へ出ると、恐ろしい土人が群れていよう。
「ジョンよ、ジョンよ!」
とバタチカンはまた不安そうに呼んだけれど
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