はその烏は一本足ではなかったけれど、しかし立派な大烏で、少年の空想を充たせるには、充分の値打ちを持っていた。
「烏、烏、大きな烏!」
 ジョン少年は歌いながらそっと石を拾い取り、何気ない風を装《よそお》ったが、忽ちビューッと投げ付けた。彼の考えでは石を投げ付け、黒い逞《たくま》しい二本の足の一本を折ろうとしたのである。
 狙った石は誤またず、一本の足へ当たったが、これが奇蹟とでも云うのであろうか、その足が折れて落ちて来た。
「あっ」
 と驚いたジョン少年は思わず声を筒抜かせたが、それより一層驚いたのは足を折られた大烏で、バタバタと枝から離れると、さも倦怠《だる》そうに羽摶《はばた》きながら、森を潜って舞って行く。
「烏、烏、一本足の烏! 烏、烏、一本足の烏」
 ジョンは夢中に叫びながら烏の後を追っかけた。
「ジョンよ、ジョンよ!」とバタチカンの声が、背後《うしろ》から心配そうに呼ばわったが、ジョン少年は返辞さえしない。
 いつしか森も出外れた。
 と、突然、海岸へ出た。潮が岸へ寄せている。一つの小さい入江があり、そこに一艘の丸木舟が、波に揺れながら漂っていた。そうして烏は海の上をゆっく
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