ころ》がった。
「それ敵が征《せ》めて来たぞ!」「弓を射ろ槍を飛ばせろ!」「敵は向こうの林の中にいるぞ! 油断をするな油断をするな」
「踊りを止めて武器をとれ!」
「捕虜《とりこ》を攫《さら》われない用心をしろ!」
「それ敵めが現われたぞ! 毒矢を射ろ毒矢を射ろ!」
土人どもは狼狽し、右往左往に立ち迷いながらもそこは勇敢なセリ・インデアン、襲い来る敵に立ち向かった。
その時またも林の中からドッとばかりに鬨の声が上り、ひとしきり[#「ひとしきり」に傍点]征矢《そや》が飛んで来たが、忽ち人影が現われ出た。
先《さき》に立ったは来島十平太で、後《あと》に続いたのはゴルドン大佐、そうしてその後から雲霞《うんか》のように続々として現われ出《い》でたのはゴルドンの引率した二十人の兵と、十平太[#「十平太」は底本では「十兵太」]の率いた二百人の武士、しめて二百二十二人、日英同盟の勇士達であった。
十二
ところでどうしてこれらの勇士達が忽然《こつぜん》ここへ現われ出で土人に向かって攻撃を開始し、ホーキン氏親子の危い命を、間一髪に止めたかというに、それには次のような経路がある
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