]夜も更けてからであった。
「とにかく手を分けて探すことにしよう。ああしかしどうもとんだことになった」
 そこで彼らは全軍を三つの隊に分けることにした。一隊をもって部落を守り、他の二隊は夜を冒して土人の本陣に向かうことにした。
 南に向かった一隊の将は、チャンバレンという予備大尉で非常に勇敢な人物であり、北に向かった一隊の将はジョンソンという会社員上がりで思慮に富んだ人物であり、部落守備の隊長はマコーレーという人物で、生まれながらの冒険家でありホーキン氏にとっては片腕であった。
 各隊の人数は百人ずつで、いずれも決死の覚悟をもって各※[#二の字点、1−2−22]《おのおの》の任務についたのである。

「みんな唄うがいい! みんな踊るがいい! 敵の大将を捕虜《とりこ》にしたぞ!」
 土人酋長オンコッコは、社殿の縁に突っ立ち上がり、さも得意気に喋舌《しゃべ》るのであった。
「……最初俺達は敵の大将ホーキンの子供を捕虜《とりこ》にした。そこで俺達は考えた。このジョンという子伜《こせがれ》めをどうぞうまく囮《おとり》につかって敵の大将をおびき[#「おびき」に傍点]出したいとな。……そこでジョン
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