論派なり。しかして旧論派たりし自由論派は味方とまでにならざるも反対にはあらず、改進論派は正反対にはあらざるも側面より反対を試みたるは明白なりき。帝政論派の遺類にして欧化論派とも称うべきは国民論派に対して理もとより正反対の地にありといえども、彼ドイツ風の歴史的論派に多少の淵源を有するがゆえに、この新論派に対してはあえて正面の攻撃をなすあたわざるがごとし、これを当時における最近諸論派の関係とす。
論派たる価なしといえども通俗の便としてなお掲ぐべきものあり、いわく大同論派、いわく自治論派、この二論派は実に論派として掲ぐるほどの価なし、何となれば理論上においてはいかなる抱懐ありしやを知るあたわざればなり。ゆえに強いてこれを論派と見做しここに列記せんと欲せば自治論派はこれを旧帝政論派の遺類たる欧化論派の中に算うべく、しかして大同論派はかの自由論派とその形を異にせしものに過ぎずと言うの外ならず。次に最新の論派として算入すべきものはいわゆる保守論派を然りとなす。保守論派の中にもまたほとんど二種の別あることを見る。すなわちもっともいちじるしきは保守中正論派にしてこの論派は実にかの国粋論派〔適当に言え
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