のしばしば書を寄せて過当の奨励をなすもの往々これあるにより厚顔にもここにふたたび印刷職工を煩わせり。
一、著者かつて維新以来の政憲沿革を考え、「近世憲法論」と題して旧『東京電報』の紙上に掲げたるものあり。またその後「日本憲法論」と題し一昨年発布の新憲法に鄙見を加え、わが『日本』に掲げたるものあり。本篇は実にこれらの不足を補わんがために起草せしものなれば、付録となして巻末に添えたり。また昨年一月に「自由主義」と題して五、六日間掲載せしものも読者中あるいはこれを出版せよと恵告せし人あり。これまた『政論考』の補遺として巻中に挾入せり。
一、著者今日に至るまでその著述を出版せしことはなはだ少なし。往時かつて『主権原論』と言える反訳書を公《おおやけ》にし、一昨年に至りて『日本外交私議』を刊行し、昨年末に『予算論』と言える小冊子を出したるのみ。しかれどもこれみな反訳にあらざれば雑説のみ、較々著述の体を具えたるものは本篇をもってはじめてとなす。ただ新聞記者の業に在る者潜心校閲の暇なく、新聞紙を切り抜きたるままこれを植字に付したるは醜を掩うあたわざるゆえんなり。
[#ここで字下げ終わり]
[#地から1
前へ
次へ
全104ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
陸 羯南 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング