げ]十月十四日
越ええじと恐れゐる身にひにけにも今年の冬の近づきてくる
天もしもいのち許さば願は今一しほの力をもたべ
[#地から1字上げ]十月十五日
ふるき友おほかたはみな土となりよわき我のみ今日の日にあふ
十幾年たたかひぬきし同志らの顧みくるる老いらくの身
[#地から1字上げ]十月十五日
ひとたびはあきらめはてし我なれどしがみつきても今は生きなむ[#地から1字上げ]十月十五日
ひとりわれ昂奮しつつ老妻はかなしみなげく時のまた来ぬ[#地から1字上げ]十月十八日
あやしげの飯《いひ》をはみつつあやしげのいのちつづくる今の世の人[#地から1字上げ]十月二十一日
世を忘れ世に忘られし柴のとに世の波風のまた立ち寄するかな[#地から1字上げ]十月二十二日
游ぐこと巧ならざる人はみな飢えてかつえて死ぬべかりけり
京に来て七条に住めこのあたり人情あつく太古に似たり(十月二十三日、小林輝次君失業せる由を聞きて)
つとめなば尚ほ生きなむとつとめよとくすしの言葉杖とたのみつ[#地から1字上げ]十月二十三日
時にあひ心はやれどむなしくもひねもすいねて筆もとりえず[#地から1字上げ]十一月二十五日
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