の策なし。実にこの蟻の多き地方にてはオレンジ、コーヒー、マンゴー、その他の植物の栽培不可能なりという。この蟻は地下きわめて深く巣をうがち発掘せる土をもって垤《とう》を造る。時に直径三四十尺に及ぶことあり。しかして諸方面に巣より付近の植物に通ずる道路を設く。ベルト氏はしばしばこの蟻が巣より半マイルを隔てし地において働きつつあるを目撃せりという。この蟻の攻撃するは主として植物の葉なれども、その他花、果実、種子をも害す。うんぬん」(三宅《みやけ》、内田《うちだ》両学士訳本、五三九ページ以下)。
[#ここで字下げ終わり]
とあり。さらにブラジルにて特にこの蟻につき研究したるベーツ氏の記載せるところを見るに、
[#ここから1字下げ]
「一つ一つの蟻は木の葉の表に止まっていて、その鋭い剪刀《はさみ》のような口で、木の葉の上方をばほぼ半円形に切って行き、そうしてその縁を口にくわえ、パッと急に引いてその片《きれ》をもぎ取る。時とすると、こうして切り取った葉をば土地の上に落とす。そうするとそれがだんだん土地の上に積まれて行くのを、他の蟻が来てそばから次々にと持ち運ぶ。しかし普通には、その切り取った葉をば
前へ 次へ
全233ページ中80ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
河上 肇 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング