、この国内における不当なる困窮をば、ただに救済するのみならず、さらにこれを予防せんがために徴収さるるものである。わが国を守るため必要な用意をばすべて怠りなくしておくということは、無論たいせつなことである。しかしながら、わが国をしていやが上にもよき国にして、すべての人に向かってまたすべての人によりて守護するだけの値うちある国たらしむることは、確かにまた同じように緊要なことである。しかしてこのたびの費用はこれら二つの目的に使うためのもので、ただその事のためにのみこのたびの政府の計画は是認せらるるわけである。人あるいは余を非難して、平和の時代にかくのごとき重税を課することを要求したる大蔵大臣はかつてその例が無いと言う。しかしながら、諸君(全院委員長エモット氏の名を呼べるも、訳して諸君となしおく)、これは一の戦争予算である。貧乏というものに対して許しおくべからざる戦いを起こすに必要な資金を調達せんがための予算である。私はわれわれが生きているうちに、社会が一大進歩を遂げて、貧乏と不幸、及び必ずこれに伴うて生ずるところの人間の堕落ということが、かつて森にすんでいた狼《おおかみ》のごとく、全くかの国
前へ 次へ
全233ページ中77ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
河上 肇 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング