N朧《もうろう》として始めて這個《しゃこ》の消息を瞥見《べっけん》し得たるに似るがゆえに、すなわちこの物語に筆を執りいささか所懐の一端を伸ぶ。しかりといえども、この編もし過《あやま》りて専門学者の眼《まなこ》に触るることあらば、おそらく荒唐無稽《こうとうむけい》のそしりを免れざらんか。[#地から1字上げ](十二月二十五日)

       十三の三

 ありがたい事には、この物語も今日《こんにち》で無事に終わりを告げうることとなった。私は最後の一節に筆を執るに臨み、まず本紙(大阪朝日新聞)の編者が、休み休み書いたこの一学究の随筆のために、長く貴重なる紙面をさき与えられしことを深く感謝する。
 さて私は最後に世界の平和について一言するであろう。思うに欧州の天地は今や大乱爆発して修羅《しゅら》のちまたと化しつつあるが、何人もこの大戦の真の当局者が英独二国なることを疑う者はあるまい。しからばなんのためのこの両国の葛藤《かっとう》ぞというに、ひっきょうは経済上における利害の衝突、これが両国不和の根本的原因である。
 今私はその利害の衝突についてくわしく説明する余暇をもたぬけれども、要するに英独
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