Dの力により、開戦以来、上下こぞっていっさいの奢侈ぜいたくを中止したからである。たとえばこれを食物についていえば、今日ドイツでは、パンや肉の切符というものがあって、上は皇室宮家を始めとし、各戸とも口数に応じて生活に必要なだけの切符を配布されることになっている。万事こういう調子で、すべて消費の方面はこれを必要の程度にとどめると同時に、働く方面はすべての人がおのおのその能をつくすということになっている。だから容易に屈しない。過去数年の間、世界一の富国たるイギリスが、今では参百億円以上に達する大金を費やして攻め掛けているけれども、とにかく今日まではよくこれに対抗し得たのである。これをもって見ても、皆が平生の奢侈ぜいたくをすべて廃止したならば、いかにそこに多くの余裕を生じ、いかに大きな仕事を成し得らるるかがわかる。私は日本のごとき立ち遅れた国は、ドイツが戦時になってやっていることを、平生から一生懸命になってやって行かねば、到底国は保てぬと憂いているものである。
 奢侈ぜいたくをおさゆることは政治上制度の力でもある程度まではできる。しかし国民全体がその気持ちにならぬ以上、外部からの強制にはおのず
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