キよな、またかようの御人は都広しと申すとも有るまじきなり。やれやれ小僧ども、あの道無殿の御供の人によく酒すすめよ、さてまた道無殿へ一宗の大事にてはべれども、かようの信心者に伝えねば、開山の御心にもそむく事にて候えばとて、念仏安心を即座に伝え申されぬ。この時道無おもいしは、さて金の威光功徳の深さよ、たちまち石を金に似せけるだに、かように人の心のかわりはべる事よと、いよいよありがたく覚えはべる。金もてゆく時は極楽世界も遠からず、貧しき者はたとえば過《あやま》りて極楽に行くとても、元来かねずきの極楽なれば、諸傍輩《しょほうばい》の出合《いであい》あしくなりて追い出されぬべし。これをもて見るに、とかく仏道の大事も金の業《わざ》にてなる。」
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 怪しむをやめよ、当世の人のしきりに利欲にはしることを。二百三十年前すでにこの言をなせし者がある。[#地から1字上げ](十二月十一日)

       十一の四

 わが国でもすでに二百三十年前に『金銀万能丸』が出ている。思うに社会組織そのものがすでに利己心是認の原則を採り、だれでもうっかり他人の利益を図っていると、「自分自身または
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