謂ふ、割愁腸と言ふべし、但《た》だ割愁と言ふ可からずと。亡兄仲高云ふ、晋の張望の詩に曰ふ、愁来不可割と、此れ割愁二字の出処なりと。(老学庵筆記、巻二)
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○東坡の詩は白鶴峰新居欲[#レ]成夜過[#二]西隣※[#「羽/隹」、第3水準1−90−32]秀才[#一]二首と題せるものの一。問題の句は、繋[#レ]悶豈無[#二]羅帯水[#一]、割愁還有[#二]剣鋩山[#一]といふ一聯を成せるもの。前の句は韓退之、後の句は柳子厚によることは、その自註に記してある。但し続国訳漢文大成では、自註に引く所の柳子厚の句が海上尖峰若剣鋩[#「峰若」に白丸傍点]となつてゐる。放翁は記憶に従つて筆を執り、誤つて峰を山となし若を似となしたのであらうか。蔵書に乏しい私は、今これを審にし得ない。

       (十一)

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 夜涼疑有雨、院静似無僧。これ潘逍遥の詩なり。(老学庵筆記、巻五)
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○東坡の詩
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佛燈漸暗饑鼠出、  山雨忽來脩竹鳴
知[#(ル)]是[#(レ)]何人[#(ノ)]舊詩句、  已應[#レ]知[#二]我此時
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