飼驢留野店 買藥入山城
興盡飄然去 無人識姓名
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のりたる驢馬に粟|食《は》まさんと
しばしを村の茶店《ちやみせ》にいこひ
薬求めてまた町に入る
興のまにまに
風のまにまに
行きかふ人は名も知らず
[#地から2字上げ](作者時に七十七歳)
[#地から2字上げ]昭和十六年八月二十八日清書
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宿建徳江 孟浩然
移舟泊烟渚 日暮客愁新
野曠天低樹 江清月近人
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こよひはここに夢みんと
けぶるなぎさに漕ぎはてて
日も暮れゆけば今更に
旅のあはれを思ふかな
見渡せば野ははろばろと
そらひくく樹にたれ
さざなみひかる江上《カウジヤウ》の
まどかなる月は人に近し
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早行 劉子※[#「羽/軍」、第3水準1−90−33]
村鷄已報晨 曉月漸無色
行人馬上去 殘燈照空驛
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にはつとり鳴きてほのぼのと
有明月《ありあけづき》もうすれゆくいなのめ
たびびとは馬にのりて立ち
しづまる宿《シユク》にともしびあはし
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曉霽 司馬光
夢覺繁聲絶
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