林光透隙來
開門驚烏鳥 餘滴墮蒼苔
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ふりしく音の絶えて夢のさむれば
林を縫うて戸のすきまより射し入る朝日
起き出でて窓を開けば烏おどろき
残りのしづく苔に落ちぬ
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西邨 郭祥正
遠近皆僧刹 西村八九家
得魚無賣處 沽酒入蘆花
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をちこちはみな蘭若《ランニヤ》
住む村人も八九軒
釣りたる魚の売場なく
酒のみ買うてまた蘆花に入る
[#地から2字上げ]以上、十六年十一月東京にて
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姑蘇懷古 白石道人
夜暗歸雲繞柁牙 江涵星影鷺眠沙
行人悵望蘇臺柳 曾與呉王掃落花
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星月夜ねぐら求めてわが船《ふな》べりを雲はただよひ、
江《カウ》は星影《ほしかげ》をひたして鷺《さぎ》はすなごに眠れり。
姑蘇城外に聳え立つうてなの柳望み見て旅人われは涙をながす、
そよ風に柳なびきて散りばふ花の散りのまがひに呉王も見えなく。
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○白石道人は姜※[#「くさかんむり/(止+頁+巳)/夂」、第3水準1−15−72]の号、姜※[#「くさかんむり/(止
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