下げ終わり]
小桃については、放翁の随筆集たる老学庵筆記に次の如く書いてある。「欧陽公、梅宛陵、王文恭の集、皆な小桃の詩あり。欧詩に云ふ、「雪裏花開いて人未だ知らず、摘み来り相顧みて共に驚起す。便《すなは》ち須《すべか》らく酒を索めて花前に酔ふべし、初めて見る今年の第一枝」と。初めただ桃花に一種早く開く者あるのみと謂《おも》ひき。成都に遊ぶに及び、始めて識る、謂はゆる小桃なるものは、上元前後即ち花を著け、状は垂糸の海棠の如くなるを」。即ち小桃といふのは、もちろん小さな桃のことではなく、旧暦正月十五日前後、百花に先だちて花をつけ、枝垂れた海棠のやうな状をしてゐる特殊の木の名である。
[#地から2字上げ](作者時に六十九歳)
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四更起き出でて書を読む
四月十三日四更起讀書
七十未捐書 正恐死乃息
起挑窗下燈 度此風雨夕
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七十未だ書をすてず
死なばはじめてやみなんか
起きいでてともしかきたて
窓ちかき机にむかひ
この風雨《ふきぶり》の夜《よ》をわたる
[#地から2字上げ](作者時に七十一歳)
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乞食の歌へる(そ
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