第3水準1−47−74]  秋水渺無津
如何草亭上  卻欠倚闌人
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秋の山は痩せてそそり立ち
秋の水は果しなくはろばろ
いかなれば草亭のおばしま
秋をめづる人のなき

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題庠闍黎二画(その二)
  雪景
溪上望前峯  巉巉千仭玉
渾舍喜翁歸  地爐※[#「火+畏」、第3水準1−87−57]芋熟
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渓ゆ望めば聳え立つ向ひの峰は
つもりつもりて雪ましろなり
帰り来《こ》しおきな囲みて
よろこぶや家の人々
ゐろりには芋やけてほろほろ
[#ここで字下げ終わり]
 前の秋景の図には、人物描きあらざるも、この雪景の方には、蓑を着、雪を冒して、とぼとぼと帰りゆく一人の人物描きありしものと思はる。[#地から2字上げ](作者時に六十七歳)

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春のおとづれ
  早春
西村一抹煙  柳弱小桃妍
要識春風處  先生※[#「てへん+主」、第3水準1−84−73]杖前
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たちそめし霞のもとにわれ来れば
西の村柳めぐみて小桃《セウタウ》うるはし
春のありがを知らまくば
わが曳く杖のゆくへこそ
[#ここで字
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