五年前長き旅路の一夜をこの戦平にやどし、夜もすがら風に吹かるる雨を聞きしに、
はしなくも老いて天涯の客となり、こよひまた聴く当年夜雨の声
[#地から2字上げ](作者時に五十六歳)
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花を移して雨を喜ぶ
移花遇小雨、喜甚、
爲賦二十字
獨坐閑無事 燒香賦小詩
可憐清夜雨 及此種花時
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ひとりゐのしづけさにひたり
香をたきて詩を賦す
あはれこの清き夜を
音もなく雨のふるらし
けふ移したる花の寝床に
[#地から2字上げ](作者当時家居す、五十九歳)
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梅花
梅花絶句(十首中之一)
山月縞中庭 幽人酒初醒
不是怯清寒 愁※[#「あしへん+(日/羽)」、第4水準2−89−44]梅花影
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山のはに月いでて庭白く
酒さめて我は家に入りぬ
ややさむを厭ふ身にはあらねども
花咲く梅の影ふむはいかで忍びむ
[#地から2字上げ](作者時に官を辞して家居す、六十七歳)
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題庠闍黎二画(その一)
秋景
秋山痩※[#「山+燐のつくり」、第4水準2−8−66]※[#「山+旬」、
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