字上げ]十月十四日

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草稿「八十四歳の放翁」に題す
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古き言葉をさぐりつつ
遠きこころを知らむとす
すでに老いにし身なればか
新たなる詩は愛《め》でがたし
[#地から1字上げ]十月十四日

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風のまにまに
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詩を読みをればおのづから詩は成り
歌見つつあればおのづから歌生まる
風のまにまに
興のまにまに
きそまたけふ
[#地から1字上げ]十月十五日

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洛東如意ヶ岳を望む
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老眼重ねて対す如意ヶ岳
或るどんたくの午後の散歩に
衣《ころも》をはらひ杖をふりて
おどろ分けつつわれ近江路に
越えゆきし日は尚ほ若かりしも
人は老い易く山川老いず
ああまなかひの如意ヶ岳
    反歌
膝をいだきわれの居むかふ如意ヶ岳たをりの松のはるけくも見ゆ
行く雲は若うしてわれの越えにける山のたをりを今越ゆる見ゆ[#地から1字上げ]十月十六日

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雲二題
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きそのよは崑崙山をかけ立ちてけさ雨ふらすこの大八洲《おほやしま》
北洋の
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