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いつしかにおいにけらしなふみもみであきのひとひをつくねんとしてをり[#地から1字上げ]九月二十七日

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菅原昌人君、余に勧むるに斎藤茂吉の歌を読むべきを以てす。よりて知人光田氏より次ぎ次ぎに茂吉歌集を借り来りて読む。従来食はず嫌ひにて斎藤氏の歌は見向きもせざりし余、これにより初めて短歌の興味を感じ、爾来日々歌をよむに至れり。しかし斎藤氏の歌にて、思想的内容ある、時事を詠じたるものは、殆ど残らず、依然として甚だ好まず
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うつくしと思ふ歌ありへど吐かむ歌もまたあり茂吉の歌集[#地から1字上げ]十月十日

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ひとりゐ
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留守居して林檎をむきて食ひけるに思ひつきてまた包丁《はうちやう》をとぐ
ひとりゐのものにあきたるゆふぐれを障子にとまる秋の蠅うつ
真白なるダリヤを活けてひとりゐの秋の夕日を窓ごしに見る
ややさむのそらはくもれりかめに活けし大輪のダリヤ白く浮びつ
ひとりゐてオートミールを煮てたうぶ上海の吾子《あこ》おくりし品はも
ややさむのかはたれどきをほのぼのと街《まち》わたりくるふる
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