士、永眠の電報来たる。博士は余より若きこと五歳、平生健康にして、未だ曾て自ら死を期せず、且つ臨終最後の瞬間に至るまで必ず生き抜かんと努力し続けられたるものの如し。しかるに夢にも後死を期せざりし余、却て今、君の死を弔ふ。自然に一詩成る
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囘首萬里程  首《かうべ》を回らせば万里の程、
自怪身猶活  みづから怪む身の猶ほ活くるを。
心願百縁成  心願百縁成り、
痩涓唯待渇  痩涓唯だ渇《か》るを待つ。
[#地から1字上げ]五月二十一日

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弔氷谷博士
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  詩一首 詞二首
今春三月二十二日、與河田氷谷博士相會於洛北一乘寺之遂志軒、因主人金子君之發意、三人相並而坐南窓之簷下、爲記念撮影了、更相携遊于八瀬、受博士之饗應於平八茶屋、對山臨溪、清談半日、席上余謂博士曰、花易散人易老、君亦須及早少省事、共吾等樂晩年之間適也、君可之且言、昨日偶臨于大學同期卒業生之會合、當年之同窓、今既半歸北※[#「氓のへん+おおざと」、第3水準1−92−61]之塵、從古人祝還暦、吾於今覺非無其故、當時君之靜音、今尚殘存於余耳朶、誰料越而纔旬日、君忽獲
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