嗤衰翁索居情  嗤ふに堪へたり衰翁索居の情。
[#地から1字上げ]三月十二日

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偶成(對鏡似田夫)
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形容枯槁眼※[#「目+多」、第4水準2−81−94]昏  形容枯槁、眼《まなこ》※[#「目+多」、第4水準2−81−94]昏《シコン》、
眉宇纔存積憤痕  眉宇纔に存す積憤の痕。
心如老馬雖知路  心は老馬の如く路を知ると雖も、
身似病蛙不耐奔  身は病蛙に似て奔るに耐へず。
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轉句借放翁詩
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[#地から1字上げ]三月十四日

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交情囘首薄如煙
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虚名泯去老殘身  虚名泯び去る老残の身、
始見人情眞不眞  始めて人情の真と不真を見る。
昨夜燈下交膝客  昨夜灯下交膝の客、
今朝忽作路傍人  今朝忽ち路傍の人と作《な》る。
[#地から1字上げ]三月二十四日

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辛巳初春、殘寒未去時、氷谷博士遊于志賀
高原、見寄殘雪句、(残雪や浮世の風の来
ぬあたり、)賦詩乞正
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當年同是讀書人  当年同じく是れ読書の人、
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