御萩と七種粥
河上肇

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)禄《ろく》十九石を食《は》む

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)元来|我儘《わがまま》な

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「糸+褞のつくり」、第3水準1−90−18]

 [#…]:返り点
 (例)応[#二]真意[#一]取組の内約仕置候間、
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 私の父方の祖父才一郎が嘉永五年七月一日、僅か六畳一間の栗林家の門部屋で病死した時――栗林家の次男坊に生れた才一郎は、この時すでに河上家の養子となっていたが、養家の瀬兵衛夫婦がまだ生きていた為めに、ずっと栗林家の門部屋で生活していたのである、――彼の残した遺族は三人、うち長男の源介(即ち私の父)は五歳、長女アサ(即ち私の叔母)は三歳、妻イハ(即ち私の祖母)は二十五歳であった。これより十数年にわたり、私の祖母のためには、日夜骨身を惜まざる勤労努力の歳月が続いた。が、その甲斐あって、慶応三年という頃になると、長男源介は、すでに二十
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